(2024/12/18 17:00)
ラピダス(東京都千代田区、小池淳義社長)の最先端半導体量産プロジェクトが、いよいよ実務段階に入る。これまで米IBMとの協力などで技術基盤の地ならしをしてきたが、蘭ASMLの極端紫外線(EUV)露光装置の搬入で具体化に向け歩を進めた形だ。ただいまだに量産化に必要な資金の確保と、顧客の獲得、そして技術の実現性という大きな課題の解は見えていない。試作ラインの稼働でこうした懸念を払拭できるかが焦点になる。
「(技術の)完成度は、ほぼ目的通り進んでいる。量産を実現して着実に成功させる」。18日、EUV露光装置搬入に合わせて開いた会見で、ラピダスの小池社長は技術の進展に自信を示した。同社は極めて薄い層を重ねたトランジスタ構造を持つ「GAA」という半導体の開発を進めており、2027年度の量産を目指している。試作ラインの構築は、その一里塚だ。
ラピダスが抱える課題のうち資金面については、日本政府が全面的に支援。研究開発や設備投資などでこれまでに9200億円を充ててきたほか、30年度までに半導体産業に対し10兆円の支援を行う「人工知能(AI)・半導体産業基盤強化フレーム」を打ち出した。主にラピダスが念頭にあるとされ、25年の通常国会にはラピダスへの融資に政府保証を付けることなどを盛り込んだ法案の提出も見込んでいる。
ただ民間レベルの動きは鈍い。1000億円規模の出資や融資の話も水面下では進んでいるものの、あくまでも政府の後ろ盾が前提だ。顧客についても、。AI半導体を手がける米テンストレントのほか、出資企業であるトヨタ自動車やデンソー向けの自動運転用も有力視される。しかし自動車業界からは、「そこまで最先端の半導体が必要になるのは当面先だ」との声も挙がる。
課題の突破に不可欠なのは、技術の実現度合いを示すことだ。試作ラインの成否は、ラピダスプロジェクトの大きな節目となる。
(2024/12/18 17:00)
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