(2024/12/18 17:00)
ホンダと日産自動車が経営統合の交渉に入る。8月に協業を発表したばかりだが、販売不振の日産が外圧に押される形で一段踏み込む。企業風土や文化が異なる両社の背中を後押ししたのは自動車産業をめぐる業界環境の変化だ。米テスラや中国・比亜迪(BYD)など新興メーカーとの競争が激化し、ソフトウエア定義車両(SDV)への対応も急務。自動車業界の再編は近年、技術を補う部分提携が主流だったが、規模拡大により利益を最大化する「1000万台クラブ」構想が再燃する。
EV・SDVへの投資最適化
統合効果として期待されるのが投資の最適化だ。電気自動車(EV)やSDVなど電動化・知能化には巨額の投資が求められる。ホンダは2030年度までに電動化・ソフトウエアに10兆円、日産は26年度までに電動化に2兆円を投資する計画を公表済み。3月の協業の検討開始以降、電動駆動装置「イーアクスル」やバッテリーなどEVの基幹部品の共通化や相互供給を検討してきた。自動車の価値がハードからソフトに移行する中、SDVの短期開発も求められている。
中長期での電動化への対応では拠点の相互活用への期待もある。ホンダは28年の稼働を目指し、カナダ・オンタリオ州にEV専用の完成車工場と電池工場を建設する計画。北米への投資が求められる中、両社で知見を持ち寄り投資を配分・効率化できれば、経営への負担を軽減し開発を加速できる期待もある。
またカーボンニュートラルに向け、多様な選択肢が考えられる中、ホンダは40年のEV・燃料電池車(FCV)販売100%を打ち出している。一方で、全方位で開発を進める日産とはパワートレーン(駆動装置)で補完できそうだ。車種構成でもホンダは軽自動車「N―BOX」など小型車が強く、日産はミニバン「セレナ」などに優位性がある。相乗効果が期待される。
(2024/12/18 17:00)
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