[ オピニオン ]
(2018/9/6 05:00)
経済産業省が自動車メーカーなどを集めた有識者会議「自動車新時代戦略会議」で、2050年までに日系メーカーが世界で供給するすべての乗用車を電動化し、エンジンのみで動く車を廃止する方針を打ち出した。これにより、自動車1台当たりの温室効果ガス排出量を10年比8割削減するという。
各社が世界で売る車を経産省がコントロールできるのか、またするべきなのかという疑問はあるものの、この目標自体は、これまで車各社が公表してきた電動化目標からそう逸脱したものではなく、違和感はない。むしろ達成目標を50年に据えたことは遅い。今夏の酷暑や西日本豪雨からみても、地球温暖化と気候変動の脅威は現実化していると感じるからだ。
カギは三つある。まずは電動化のキーコンポーネントである電池の革新が必須なこと。そして再生可能エネルギーをはじめとするゼロエミッション型発電の普及を併せて進めるべきこと。最後に、日本だけでなく世界各国のエコカー政策との連携を図るべきことだ。
当面は電池だ。電気自動車(EV)の普及があまり進まない最大の原因が電池にある。価格の高さと航続距離の短さから今一つ消費者の支持を得られておらず、自動車メーカーの普及への姿勢も別れる。どこの政府がどのような旗を振っても、消費者の支持を得られなければ本格的な普及にはつながらない。技術革新が急がれる。
次のポイントが再生可能エネルギーによる発電をいかに組み合わせるか。いくらEVや燃料電池自動車(FCV)が二酸化炭素を排出しないといっても、二酸化炭素をガンガン出す石炭火力で発電した電力を使っては地球環境への負荷は減らない。
最後に各国の規制との協調だ。中国、米国、欧州の燃費規制は、自国の自動車業界の育成策とセットになっている。日本勢が強みとするストロング型ハイブリッド車(HV)は、燃費性能の高さに比べると冷遇されているといっていい。政府にはこうした状況を変えられるような交渉力を発揮してほしい。
(2018/9/6 05:00)
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