[ 機械 ]
(2018/10/1 10:30)
ダイヤモンドは硬さ、強度、耐摩耗性などから、加工工具として極めて優れている。熱化学的な安定性の面でダイヤモンドよりも優れる立方晶窒化ホウ素(cBN)とともに、切削、研削、研磨加工、切断などで活躍している。耐熱性や強度に優れる半面、加工が難しい工業材料が次々と登場している中、それら難加工材の高精度な加工にはダイヤモンド工具、cBN工具は欠かせない存在だ。
切削・研削・研磨加工・切断などで活躍
2017年のダイヤモンド・cBN工具の国内生産は、ダイヤモンド工具が693億円(16年比3・9%増)、cBN工具が265億円(同9・4%増)、合計で958億円(同5・3%増)。18年も好調で、ダイヤモンドとcBNの合計で1000億円を上回る可能性も見えてきた。
ダイヤモンド工具は自動車、産業機械、電子・半導体、建設など多岐にわたる産業分野の切る・削る・磨くなどの工程で用いられている。超硬合金、硬質金属、セラミックス、ガラスなどの研削・研磨、石材やコンクリートの切断などに不可欠な工具だ。例えば半導体分野では基板材料として新たに炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)などが増えつつあるが、それらの切断などでもダイヤモンド工具が活躍している。
ダイヤモンド工具は難削材や硬脆(こうぜい)材の精密加工が得意だが、鉄系素材の加工には不向きだ。そこで、鋼などの加工にはcBN工具が用いられる。cBNは工具材料としてはダイヤモンドに次ぐ硬度であり、1200度Cまで安定性を保ち、鉄との反応は起こさない。
合成ダイヤモンドの微結晶と金属やセラミックスなどの結合材を高温・高圧で焼結させた多結晶ダイヤモンド焼結体(PCD)は非常に強度に優れる。切削工具の先端部分に使われ、非鉄金属や複合材の高精度切削に威力を発揮する。同様にcBN微粒子を焼結したPCBN工具もある。
ダイヤモンド工具はコンクリートカッターやカッティングソーから研削ホイール、切削工具まで、さまざまな作業に用いられる。高速で回転する“刃物”なので、不十分な取り付けや、不注意な操作は事故につながる。
製造物責任(PL)法が導入された際、非常に細かく、詳しく書いた取扱説明書が作られたが、それでは分かりにくいという意見は多い。ダイヤモンド工業協会では日本語が不得意な外国人にも理解できるように簡潔な言葉とイラストで表示する“分かりやすい取扱説明書”の検討を進めている。
(2018/10/1 10:30)