[ オピニオン ]
(2018/10/1 05:00)
ノーベル賞の発表が1日に始まる。有力候補と目される研究者にとっては、心待ちとも落ち着かないとも言える季節であろう。
かつて日本人のノーベル賞は京都大学出身者が多いイメージだった。初の受賞者・湯川秀樹博士を筆頭に、京大が日本人の自然科学3賞受賞者の大半を占めた時期が長かった。だが2000年以降、様相は変わった。徳島大学、山梨大学、埼玉大学など旧帝国大学ではない地方大学出身の受賞者も相次いでいる。
それでも「京都ゆかり」というくくりでみれば、島津製作所の田中耕一シニアフェローや、京大iPS細胞研究所の山中伸弥所長らがすぐに思い浮かぶ。やはり京都は縁が深いのだろう。
近年は名古屋大学関係者の受賞が目立ち“一大勢力”となっている。また富山市から岐阜県高山市へ抜ける国道41号線が、沿道の宇宙線研究施設『スーパーカミオカンデ』や近隣の出身者にちなんで「ノーベル街道」と呼ばれるなど、ゆかりのあり方も多様化した。
直近の受賞者は2016年の生理学医学賞に輝いた東京工業大学の大隅良典栄誉教授。昨年は受賞者がいなかった。今年の有力候補は出身も業績も多士済々。だれであっても、日本人研究者の栄冠を大いに祝いたい。
(2018/10/1 05:00)