[ オピニオン ]
(2018/10/3 05:00)
小惑星探査機『はやぶさ2』の定例説明会。着陸した小型探査ロボット『ミネルバ2―1』担当で准教授の吉光徹雄さんが「Sol(ソル)という言い方が日本で使える。感極まるものがある」と話したことに、胸が熱くなった。
Solは1自転(1日)のこと。惑星表面に降り立って、はじめて使うという。過去、惑星に移動可能な装置を送り込んだのは米国の火星探査のみ。小惑星では世界初の快挙だ。
本番直前に意気込みを質問され「私が意気込んでもしょうがないので、ありません」と切り捨てたクールな吉光さん。初代『はやぶさ』でも『ミネルバ』を手がけ、着陸できなかっただけに今回の感動が伝わった。
日本に刺激されたと言われる米国のプロジェクトは、1・5トンの大型探査機を小惑星に送ってキログラム級のサンプル回収を目指す。0・6トンの機体で数グラムの持ち帰りを想定する日本との差はまだ大きい。
ノーベル賞ウイークも佳境の3日、欧州共同開発の探査機『マスコット』が『はやぶさ2』から分離され、新たな着陸に挑む。欧州の責任者は「成功まで眠れない日が続くだろう」と話している。宇宙開発はノーベル賞には該当しないけれど、未踏に挑む感動は負けていない。
(2018/10/3 05:00)