[ ICT ]
(2018/10/7 14:00)
100億ドル(約1兆1400億円)規模に上る米国防総省のクラウドコンピューティング契約の受注を狙うテクノロジー企業は、それぞれのシステムの安全性を証明するよう圧力が強まる可能性がある。受注競争の最右翼にいるアマゾン・ドット・コムを含む米企業のサーバーに、中国がハッキングのための極小チップを仕掛けていたとする記事が影響しそうだ。
ブルームバーグ・ビジネスウィークが政府当局や民間の十数人の情報源を基に報じたところによると、クラウドコンピューティングサービスで市場シェア首位のアマゾンをはじめ、アップルなど米企業約30社のサーバーにこのチップが埋め込まれていた。
アマゾンとアップル、サーバー部品の販売元であるスーパーマイクロ・コンピューターと中国政府はこの報道内容を否定。アマゾンはこの報道が国防総省の入札に及ぼす影響を問う質問に対し、報道を否定した発表文を参照するようにと回答した。
セキュリティーと公共調達の専門家は、アマゾンのクラウドサービス受注見通しに影響はないだろうとみる。同社は問題を発見した被害者だと主張することができるためだ。記事によると、アマゾンは下請け業者が操業する中国の工場でチップが埋め込まれたことに気づいて当局に通報し、影響を抑える措置を取った。
それでも米国防総省、アマゾンなど入札参加企業にはそれぞれシステムの安全確保に措置を講じるよう圧力が高まる。米下院情報特別委員会の民主党筆頭理事であるシフ議員(カリフォルニア州)は、中国がコンピューター用チップのサプライチェーンを使ってハッキングを画策したのかどうか同委員会は複数の機関から情報を集めるべきだと論じた。
国防総省の契約に対する入札期限は1週間後に迫る。参加企業にはアマゾンやマイクロソフト、IBM、オラクルなどが予想される。国防総省の入札に対する記事の影響について、オラクルはコメントを控え、マイクロソフトとIBMは応答しなかった。(ブルームバーグ)
(2018/10/7 14:00)