[ オピニオン ]
(2018/10/8 05:00)
水道事業に民間企業の参入を促す水道法改正案は、先の通常国会の衆議院で可決したものの参議院では継続審議となった。次の臨時国会で参議院で可決すれば、衆議院に送られて成立する見通しだ。ただ、日本も水道法を改正するのであれば英国のように国が責任をもって監視体制を整備すべきではないだろうか。それが民営化の前提だ。
これに対し、ネットや雑誌などには「ヴェオリアやスエズといった海外の水メジャーに事業が乗っ取られる」「水道料金が上がるのでは」といった批判的な論調が多く見受けられる。
水問題に詳しいインターネットサイト『グローバルウォーター・ジャパン』を運営する吉村和就代表によると「1990年代に世界銀行が発展途上国の水道事業に融資する際に民営化を義務付けた。その結果、サービス低下や水道料金高騰が起き、2000年から15年の間に37カ国で民営化した水道235カ所が再公営化された」そうだ。
一方、日本の水道は人口減による収入減少、施設老朽化、自然災害による被害、職員の高齢化など「カネも人材も技術も同時多発的に失われている状態にある。まず水道の広域化、官民連携加速が必要」(吉村代表)という。広域化は現在の1400余の自治体水道事業を県ごとなどにまとめることだ。また官民連携も第三者としてのチェック機関をつくる必要がある。
ちなみに国内3000の水道事業を11の民間会社に再編した英国のケースでは、会社の財務を調べるオフワット(水業務管理局)、水質適合性をチェックするDWI(飲料水検査局)、消費者の意見の集約伝達などを行うCCウオーター(水道顧客審議会)という3組織を設けた。この3組織で水道事業を常時監視している。
「こうした体制で英国は水道民営化がうまくいっている。民営化に失敗したところはこうした体制がなく、丸投げしていることが多い。定期的に国として、あるいは第三者が事業者を査察する権利を明確にすることが民営化の前提だと思う」(同)という。
(2018/10/8 05:00)
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