[ オピニオン ]
(2018/10/12 05:00)
製缶や研磨などの現場の職人を紹介する「モノづくり支える町工場の技」「卓越―現代の名工」といった本紙連載の数々。こうした記事が学校教育の場で活用されている。
埼玉県立大宮工業高校の国語教諭、西哲未(さとみ)さんは、これらを題材に問題集を手作りしている。記事全文を音読させ、一部伏せ字にした見出しを完成させるように促す。いとへんの漢字を記入せよという設問も。□青(ろくしょう)、深□り(ふかしぼり)、軸□ぎ手(じくつぎて)。正解は緑、絞、継。
「人工知能(AI)と人間の違いを記事から読み取ってまとめよ」「人の手による溶接がロボットに勝る点は」の問題は圧巻。生産性向上や働き方改革など、産業界のテーマを若者がどう思うか想像すると、こちらもほほが緩む。
教育現場では語彙(ごい)力や表現力の不足がいわれる。新聞記事を正しく読めれば、漢字の空欄も埋められ、生徒の自信につながる。「国語の問題ながら、ものの見方や考え方を生きる力として養える」(西さん)のがNIE(教育に新聞を)運動の魅力なのか。
15日から新聞週間。“現場で即使える”が強みの本紙を「知っている用語が出てくるからおもしろい」と思える若者が一人でも増えたらありがたい。
(2018/10/12 05:00)