[ オピニオン ]
(2018/10/11 05:00)
2019年10月に予定する消費税率10%への引き上げを控え、世間はにわかに慌ただしさを増している。需要変動の対応など、政府も最大限の対策を講じる。景気が腰折れしないよう、万全の体制で臨んでほしい。
増税の影響は思わぬ物に波及している。1円玉だ。税率がきりの良い10%となり、1円玉の存在感が危惧されている。これに輪をかけキャッシュレス化も進む。
日銀によると、17年の1円玉の流通量は378億枚で、ピークだった02年の410億枚から約8%減った。現金決済に伴う輸送や事務コストの低減に向けて政府もキャッシュレス化にかじを切っており、16年から1円玉の製造を中止している。
ではキャッシュレスの状況はどうか。電子マネー決済は年々増加の一途をたどり、16年に5兆円を突破した。とはいえ日本のキャッシュレス比率は約2割と、6割を超す中国や韓国、3割に達する米国に水をあけられている。
全国に現金自動預払機(ATM)網がある日本では、現金でも不便は感じない。ただ、キャッシュレス化は消費者の利便性向上とともに、ATMの維持コストの観点からもメリットは計り知れない。1円に泣かないためにも、キャッシュレス化の行方を注視したい。
(2018/10/11 05:00)