[ 政治・経済 ]
(2018/10/11 18:00)
【ワシントン=時事】米国が昨年12月、西部ネバダ州で核爆発を伴わない臨界前核実験を行っていたことが9日、米エネルギー省国家核安全保障局(NNSA)の報告書で明らかになった。臨界前核実験は1997年に始まって以来28回目で、トランプ政権下では初めて。
報告書などによると、「ベガ」と命名された核実験は昨年12月13日、ネバダ核実験場の地下施設で実施された。化学爆薬をプルトニウムに向けて爆発させる方式。ただ、実際の核兵器より少量のプルトニウムを使うため、臨界質量には達せず、核爆発は起こらなかった。
臨界前核実験は包括的核実験禁止条約(CTBT)で禁止される「核実験」には該当しない。NNSAは「プルトニウムの反応について、素晴らしく詳細なデータを提供した」と述べた。
トランプ政権は2月に公表した「核態勢の見直し(NPR)」で、歴代政権が進めてきた核軍縮方針を大きく転換。爆発力の小さい低出力核弾頭や核巡航ミサイルの新規開発を表明した上、「地政学的問題が生じた時に備えて核実験を再開する態勢を維持する」と明記し、将来の核実験実施に含みを持たせた。
オバマ前政権は計4回の臨界前核実験を実施。「核なき世界」を掲げる一方、保有核兵器の信頼性と安全性を維持するために臨界前核実験が必要だとの立場を示していた。
(2018/10/11 18:00)