[ オピニオン ]
(2018/10/17 05:00)
身近な恐怖とは何だろうか。地震や台風といった自然災害とともに恐ろしいのががんだろう。最近も沖縄県の翁長雄志知事や女優の樹木希林さんが鬼籍に入った。
国立がん研究センターによると、2016年の死亡者数は約37万3000人。男女合わせた罹患(りかん)部位は大腸がトップだが、女性に限れば乳房が1位。今や日本人女性の11人に1人が罹患すると言われる乳がんは、フリーアナウンサーの小林麻央さんや漫画家のさくらももこさんの命を奪った。
乳がんは生存率が高いがんと言われている。欧米では数十年も前から定期検診が当たり前とされ、死亡率は低下している。これに対して受診率が4割程度のわが国は死亡率が上昇し続けており、検診の重要性が訴えられている。
検査にはマンモグラフィーと呼ぶ専用のX線装置を使う。2枚の板で乳房を挟み撮影するため、痛みや羞恥を伴う。多くの女性に忌避されがちだが、命には代えられない。
病魔は患者だけでなく、家族にも容赦がない。小林さんのように幼子が残されるケースも少なくなく、家族の傷は癒えない。女性の社会進出や企業での活用が話題になるが、同時に病気に対する理解も深めなくてはならない。10月は乳がん月間。
(2018/10/17 05:00)