[ オピニオン ]
(2018/10/23 05:00)
建設関連業界でビル・インフォメーション・モデリング(BIM)の普及に向けた基盤づくりが目立つ。こうした中、BIMライブラリーコンソーシアム(BLC)が、BIM使用に欠かせないオブジェクト(部品)の標準化案を提示。ゼネコンや設計会社、設備機器メーカー、BIMソフト会社、関連団体、大学関係者など100を超える会員が合意。BLCが目標とする「皆が使えるBIM部品のライブラリー構築へ基盤が整った」(業界関係者)といえ、今後の取り組みに弾みがつく。
BIMはコンピューター上に作成した3次元(3D)の形状情報に、部屋名や寸法、材質、性能、コストなど属性情報を併せ持つ建物情報モデルを構築できる。企画・設計から施工、運用、維持管理のあらゆる工程で活用が進む。だが、利用者がBIM部品を繰り返し作成せざるを得ない非効率な面があった。
この課題を解決するため産学の関係者が中心となり2015年10月にBLCを発足、誰もが容易に利用できるライブラリー構築へ動きだした。
今回、BLCが策定した部品標準は、設備機器データ交換の標準仕様「Stem」を引き継ぎ、2次元でも3Dでも適用できる。世界を先導する英国NBSの標準に準拠して日本独自の仕様を加え、グローバル化も視野に入れている。
18年度中にBLCが標準仕様の部品を試作し、19年度は種類、数を増やす。試行サイトやライブラリーの実験サイトも構築する。20年度以降に実プロジェクトでの実験的利用が始まる見通しだ。
BIM利用時に繰り返し使う部品を事前に作成し、ライブラリーとして共通利用できる形式にすれば作業効率は高まる。設計、施工、メーカーの情報伝達が円滑化し、品質向上につながる。引き渡し情報が標準化されると、維持管理でも効率化が見込める。建設関連の業界関係者、建物所有者、発注者が利点を享受できる仕組みの早期実現へ、「部品標準化がBIMの裾野を広げる大きな力」(奥田修一BLC代表)となってほしい。
(2018/10/23 05:00)