[ オピニオン ]
(2018/10/26 05:00)
日中首脳会談が26日、北京で開かれる。米中貿易戦争が激化する中、日中両国にとって、両国の関係改善を図ることは意味がある。日本は中国との経済面での良好な関係をより深めていきたい。半面、中国の国家優位な経済体制のもと、日本企業の活動が大きく制限されるなどリスクもある。これには東南アジア・南アジア諸国とのつながりを深めていくことが必要だ。日本は新たな海外経済戦略を構築する局面を迎えている。
米中貿易戦争が繰り広げられており、長期化するという見方が少なくない。世界の覇権争いという背景があるためだ。中国は以前ほど急激ではないにしても依然として高い経済成長を続けている。半面、国内市場の開放は遅々として進んでおらず、国家統制のスタンスを強める方向が鮮明になってきた。
一方、米国はトランプ大統領のみならず、議会が中国を抑え込むことが必要との思いがある。トランプ政権が終わっても、米国の中国への警戒感は続いていくと見られる。米国は中国の先端分野での成長を阻止するため、一時的に世界経済に悪影響を及ぼしたとしても、中国の経済的覇権拡大の阻止を優先するのではないだろうか。
今回の会談は、中国が米国をにらみながら、特に経済面での日本との関係を深めていった方が得策との狙いがある。
こうした中、日本は安全保障の基軸に日米関係を位置づける以上、中国との関係は高度な戦略が不可欠だ。訪日外国人旅行客(インバウンド)を含めて、中国市場への依存度は高まっており、経済面での良好な関係の維持は大切だ。一方で中国が、突然、日本企業の活動を阻害する政治リスクもある。
このリスクに対応していくには、日本は東南アジアや南アジアなどの諸国の経済成長を欧米諸国と連携しながら支援していくことが重要だ。合わせて経済面、社会や文化面でもつながりを深めていく姿勢が求められる。世界経済が変化するのに伴い、海外経済戦略の再構築が迫られている。今回の会談はその布石としたい。
(2018/10/26 05:00)