[ 機械 ]

【別刷特集】高速CNC偏心ピン研削盤と偏心ピンおよびポリゴン加工

(2018/11/2 20:00)

 2018年の夏は世界中で異常な猛暑が続いた。その要因もあり、家庭用/業務用エアコンなどを供給する空調機器市場は成長し続けている。また、製造業では慢性的な人手不足の状況で、自動化への設備投資が積極的に実施されている。ここでは空調機器やロボットに使用される精密部品の高精度化と高能率生産に寄与する高速CNC偏心ピン研削盤GPEL―30B.25(写真1、表)を紹介する。

シギヤ精機製作所 研究開発課長 松本 耕

高精度 寸法バラつき2マイクロメートル以下

  • 写真1 高速CNC偏心ピン研削盤GPEL-30B.25

C軸・X軸同期

 偏心ピンはジャーナル中心から偏心した位置に中心軸を持つ円筒体で、ポリゴンは断面形状が多角形やカム形状などの部品。高速CNC偏心ピン研削盤はジャーナル中心回りに工作物を回転させて公転運動する偏心ピンを真円に仕上げる。ポリゴン研削も可能だ。

 偏心ピンやポリゴンなどの非真円工作物の研削加工では、工作物の回転(C軸)と砥石(といし)台送り(X軸)が同期制御される。ロバストな偏差のないC―Xハイゲイン学習制御と、高精度で高剛性な機械特性から良好な形状精度が得られる。

 ポリゴン研削対話システムには偏心円、楕円(だえん)、三角形、四角形、正n角形などが登録されている。形状を選択し、寸法や偏心量を入力すれば、その形状に創成研削される。任意形状も定義できる。

 研削加工は部品加工の最終工程となる場合が多く、寸法精度と形状精度の要求は特に厳しい。円筒研削において寸法精度を安定させるには、工作物から砥石までのベッドを経由する力線ループ上の熱源制御が必要だ。また、良好な真円度を得るには工作物と砥石の回転精度が重要だ。偏心ピン(ポリゴン)研削では、それに加えて、工作物回転位相ごとの接触剛性と支持剛性が求められる。

  • 表 GPEL-30B.25の仕様

25%高速化

 高速CNC偏心ピン研削盤GPEL―30B.25砥石台ユニットの開発コンセプトは、高速・軽量・高剛性。砥石周速は毎秒100メートルで、従来機比で25%高速化。工作物回転速度は最大毎分400回転と高速化し、C―X同期制御の砥石台送り速度も高速化した。砥石台の送りガイドは静圧スライドで、高い剛性が砥石台の研削抵抗による変位と高速運動によるピッチングを防ぐ。また、熱対策として冷却系を最適化し、間接定寸研削による偏心ピン部の真円度は0・20マイクロメートル、寸法バラつきは2マイクロメートル以下という加工精度が得られた。

IoT対応“即戦力機”

  • 写真2 チャック加工

省スペース

 CNC偏心ピン/ポリゴン研削盤は、すでにエアコン用コンプレッサー部品やロボット用減速機部品などで多くの加工実績がある。高速CNC偏心ピン研削盤GPEL―30B.25の特徴は制限の少ないツーリング・省スペース化・量産機としてのIoT対応だ。多くの心押し台オプションに対応し、チャック加工(写真2)と両センター加工の選択ができることで、さまざまな偏心ピン工作物への対応が可能となった。機械幅は当社比で約17%コンパクト化された。そして機械本体と周辺機器の状態監視ができるIoTのオプションが追加された。

 同一工作物を研削加工するとサイクルタイムが従来機の半分となった事例もある。同機は量産加工の現場で求められている精度、生産性、IoTによる見える化に対応した即戦力機である。

JIMTOF2018特集

(2018/11/2 20:00)

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