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[ エレクトロニクス ]
(2018/12/3 05:00)
体内の浅部から深部まで鮮明な画像を撮像できる超音波探触子
【1・5倍鮮明】
医用画像診断装置のコモディティー化が進む中、装置の付加価値を高める研究開発が進む。高画質化はその一つ。超音波診断は装置本体のみならず探触子(プローブ)の性能向上が欠かせない。日立製作所は半導体技術を応用し、高分解能な撮像が可能な探触子を実用化。体内の浅部から深部まで従来より1・5倍鮮明な画像を撮像できるようにした。
探触子は超音波の発信と受信を行うセンサーで、その材料はさまざま。時代とともに圧電セラミックスや複合圧電材、単結晶といった素材を用いて超音波の届く帯域を広げてきた。日立が受賞した探触子は、今までの素材とは異なるCMUT(静電容量型マイクロマシン超音波トランスデューサ)という半導体技術の活用が特徴だ。
シリコンウエハーのセルに空洞と空洞上の薄膜があり、その膜を揺らすことで超音波を送受信する。人体への超音波の伝搬効率を高めて画像分解能を向上させる。2009年にこの原理を使い製品化したが、高い圧力の超音波を出せず、人体の深い部分まで届かなかった。高い音圧では強い電荷がかかり、膜が壊れてしまうためだ。
【全検査に対応】
この課題を解決するため、膜の材料から構造、生産プロセスに至るまで工夫を凝らし、高い音圧でも膜が壊れない仕組みを構築。17年に第四世代となる今回の探触子「4G CMUT」を製品化した。高い音圧が必要な血流のカラー画像や造影剤の観察などすべての検査モードに対応し、検査によって探触子を持ち替えたりせず1本で済む。この探触子は超音波装置の上位機種に搭載され「乳腺や甲状腺、血管系の診断に利用され、より早期の病変発見や質的診断にも役立つ」(河野敏彦ヘルスケアビジネスユニットチーフエグゼクティブ)とみる。今後は中位機種の装置もラインアップに加える。
【CMUT強み】
装置と探触子は高画質化のための両輪。どちらか劣っている方の性能で決まる。河野チーフエグゼクティブは「CMUTのポテンシャルは非常に高く、さらなる高画質化で超音波装置の性能限界を超えていける」と手応えを示す。超音波装置は中国や韓国メーカーとの競争が熾烈だが、他社にないCMUTを強みにブランドを確立し、差別化する考えだ。(清水耕一郎)
(2018/12/3 05:00)
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