[ オピニオン ]
(2018/12/21 05:00)
企業の社名、ブランド名を付けた施設を見かけることが普通になった。大手企業の名を冠した「〇〇スタジアム」と命名された野球場はその代表格で、ほかにも体育館、有料道路、歩道橋に多い。変わり種では公衆トイレがある。
管理している歩道橋すべてに命名権を設定する自治体もあるが、企業が宣伝効果を望める条件を満たす場所は限られる。すでに“大型案件”は出尽くした感がある。自治体が苦心しているのはわかるが、募集対象の選定で、もう少しメリハリがほしい。
自治体の専売特許と思いきや、命名権販売は多方面に広がっている。名古屋大学は文系学生が利用する教務課ロビーの愛称を募集している。命名後、2019年2月にホームページで周知し、文系教務課で配布する印刷物などに愛称を併記する。
名大は命名権料を学生サービスの充実に役立てる考え。同ロビーは文系4学部・6研究科に在席する約4100人の学生が訪れる。複数の問い合わせがあるというから、命名権獲得に値する“好立地”と見えるのだろう。
ビジネスの世界で話題に上る「三方良し」の精神が、命名権ビジネスにあってもいい。皆が愛着を持てるネーミングは、産学官をつなぐ架け橋になりそうだ。
(2018/12/21 05:00)