[ オピニオン ]
(2019/1/14 05:00)
プラットフォーマーと呼ばれるIT大手によるデータ寡占はさまざまな問題を引き起こす。米フェイスブック(FB)をはじめとする個人データの大量流出は、多数の利用者が個人情報を盗み見られるリスクにさらされていることを浮き彫りにした。個人の位置情報や購買履歴などの個人情報の利活用への期待が高まっているだけに、警鐘を促す。政府はもちろん、企業、利用者はデータを高度活用する社会のリスクを認識するとともに、対策を講じる必要がある。
ビッグデータや人工知能(AI)、IoT(モノのインターネット)などの技術の進展で、主な材料の個人データの価値は一段と重要性が増している。
個人データの価値は、他の一般的なデータとは一線を画す。人間の行動をダイレクトに把握し、予測できるためだ。そのデータを生み出す主体は個人だ。多くのデータが集まれば、新たなサービス・市場が創出される可能性もある。例えば、多くの人の位置情報が集まれば、混雑状況の案内サービスができる。そこに年齢情報や男女別などの情報が加われば、出店や広告に優位なデータとなる。
「GAFA」と呼ばれる米グーグル、米アップル、米FB、米アマゾンの巨大IT企業は、検索などのサービスを通じて集める圧倒的な量の個人データが競争力の源泉となっている。
こうした中で大量のデータ流出が起きた。個人情報を活用したサービスを提供する企業は、ソフトを再点検する必要がある。ただ、サイバー攻撃を完全に防ぐのは難しい。攻撃を受けることを前提に対策を講じることも求められる。利用者も完璧な対策が難しいことを前提にサービスを使うことが重要だ。
政府の役割も問われている。欧州連合(EU)は今年5月、個人情報保護の新ルール「一般データ保護規則(GDPR)」を施行し、企業の責任を重くした。日本も個人情報保護法があるものの、GDPRと比べると企業の責任は重くない。利用者の安全や安心はデータ社会の礎となる。これを軸にした新たなルールづくりが求められる。
(2019/1/14 05:00)
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