[ 機械 ]

第61回十大新製品賞/本賞 アマダホールディングス・アマダ

(2019/1/28 05:00)

  • ENSIS―3015AJ「9000」のモデル(左が山梨上席執行役員)

【ファイバーレーザマシン ENSIS―3015AJ(9kW)】

社会は変革期にある。変化の速度はデジタル技術をはじめとした先端技術で加速している。アマダホールディングス(HD)は、2014年に発売した旗艦ファイバーレーザー技術「ENSIS」をわずか3年のうちに大幅改良し、第2世代を世に送り出した。

金属板(板金)をレーザーで切るレーザー加工機は、ほんの5年ほど前まで二酸化炭素(CO2)レーザー方式が主流。当時は「開発間隔が5年はあった」(山梨貴昭アマダ上席執行役員)。

14年投入の第1世代は、レーザー出力が2キロワットのレーザー源を組み合わせ、同レーザーを搭載した加工機は薄い板金の切断に向いた。刃物の刃に当たるレーザー光の形を自動的に変化させ、厚さや材質の異なる板金を機械を止めず、連続的に加工できる革新的な技術であった。ただ、「もっと厚い材料をより早く、より精度良く切りたいという要求」(迫宏アマダHD上席執行役員)や競合状況が急速に立ち上がり、これをかなえる出力9キロワットの第2世代の開発が急務になった。

第2世代は出力3キロワットのレーザー源を三つ束ね、薄板から厚板まで網羅する。連続加工する技術も進化させた。切断速度は約2倍、精度は材料の上下面の傾き(ベベル量)を約9割減らせる。

しかし、出力が大きい分、「レーザーユニット内に異物があった際に機械へのダメージも大きい」(平沢泰介アマダブランク開発部長)と9キロワット故の対策が必要だった。クリーンルームを追加設置するなど製造工程での混入を防ぐ対策を講じた。さらに材料、厚さによってレーザー光の形状や径を自在に変えるユニットの構造を、加工した材料からの飛散物などが入りにくい設計にした。

山梨執行役員は「CO2レーザー頼みでは日本の板金業界が世界に負けてしまう」と危惧する。世界は高生産性のファイバーへの置き換えが顕著で国内はやや遅れる。「日本がガラパゴス化しないようファイバーの道筋を示すのが当社の使命だ」と国内最大手としての責務を感じている。こうした思いを結実させた加工機。想定の倍以上の売れ行きだという。(編集委員・六笠友和)

【製品プロフィル】

高生産性、省エネルギー性が特徴のファイバーレーザー方式のレーザー加工機。板金の切断に用いる。主流だったCO2レーザー方式が厚い板金に適するのに対し、ファイバーレーザー方式は薄い板金向けとされてきた。受賞製品はアマダHD最大の出力9キロワット。レーザーの形状を自在に変化させるなどで薄板から厚板までを連続加工できる。

(2019/1/28 05:00)

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