[ ロボット ]
(2019/1/29 05:00)
【次世代ロボットシステム ARMROID】
ロボットは工作機械の前方や側面に設置するという常識を覆す製品だ。旋盤の加工室の手前左に付いたロボットアームが、加工対象物(ワーク)の着脱・反転や加工中のびびり抑制、切り粉のからみつき防止、清掃と何役もこなす。
開発は一部の社員の手で、極秘に進んだ。2015年5月、第二商品開発部の若手、森村章一さんは、上層部から内蔵型ロボットというアイデアだけを提示され、半年間ほど1人だけで構想を練った。数値制御(NC)装置でロボットも操作できるなど工作機械との融合を提案して事業化が決定。16年から3人で開発を進めた。
内蔵型という従来ない方式のため既存のロボットは適用できず、自社開発した。苦労したのは、加工室のスペースが限られる中、ロボットが刃物台などにぶつからない経路で動くよう設計することだ。森村さんは「3Dプリンターで模型を作って確認した」と振り返る。
ロボットのパワー確保にも気を配った。最大5キログラムのワークを着脱・反転するため、軸数は4軸に抑えた。
森村さんらの設計で実際に動くよう、制御系で尽力したのがFAシステム本部FA開発部の柴田知宏次長だ。最初に話を聞いたときは「本当にできるのだろうか」と思ったという。NC装置でロボットをどう操作するか、どんな操作感覚にするかという仕様を入念に策定することで、ぶつからないという目的をクリアした。
旋盤内蔵という世の中にないロボットはこうして完成した。人手不足に悩む中小製造業に、スペースを抑えて導入し、簡単に自動化できると提案する。千田治光技術本部長兼研究開発部長は「工場のスペースが限られており、内蔵の利点は大きい」と説く。
中小製造業は人手不足の一方で、働き方改革への対応も求められている。夜間に自動加工できる機能が、大きく貢献しそうだ。日中は人間が複数の小ロット品を順番に加工する。夜間は前面に設置したワークストッカーを利用し、量産品を自動加工する。残業時間を削減できる。(名古屋・戸村智幸)
【製品プロフィル】
システムインテグレーター(SI)不足が中小のロボット導入の壁になっている中、アームロイドはSIの支援なしで導入できる。NC装置で工作機械と同じように操作できることが大きい。対応する旋盤は中小向けの量販機種「LB3000EXII」。内蔵してもフロアスペースは変わらず、加工精度は一切損ねていない。
(2019/1/29 05:00)
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