[ オピニオン ]
(2019/1/31 05:00)
景気の先行きに対する不透明感が広がっている。政府は緩やかに景気回復しているとの認識を維持しているものの、世界経済の成長鈍化、米国発の通商問題など、グローバルリスクを中心に、景気を下振れさせる要因が少なくない。モノづくり企業はどんな状況でも対応できるよう、生産性を向上させるとともに、あらためて本業の強化に努めていきたい。
2019年度の実質国内総生産(GDP)成長率について、政府の経済見通しが1・3%程度を予測する一方、民間シンクタンクでは0%台とする見方が相次ぐ。民間調査に比べて政府見通しは、いささか甘いという印象が拭えない。
企業関係者は景気の先行きをシビアに見ている。18年12月の景気ウオッチャー調査によると、2、3カ月先の景気の先行きに対する判断を示す先行き判断指数は、横ばいを示す50を下回り、それほど先行きに明るさを見込んでいない。
海外を中心に、景気の足を引っ張るリスクが山積している状況が背景にある。世界経済はピークアウトしたとの指摘が相次ぐ中、国際通貨基金(IMF)は19年の世界の経済成長率を3・5%とし、18年10月時点に予想した3・7%から引き下げた。
米国発の通商問題も先行き懸念を膨らませている材料。1月にも始まる日米物品貿易交渉(TAG)では、トランプ政権が自動車をはじめ、農産物、金融・通信などサービス貿易、為替といった多様な分野で強硬な要求を出してきそうだ。
米中貿易摩擦は、長期化する恐れがあるほか、通商をめぐる米中両国の対立を受け、中国経済が失速感を増している。18年の実質GDPは前年比6・6%増と28年ぶりの低水準になった。
モノづくり企業は、需要が減少しても選ばれる製品・サービス開発を加速させるほか、持続的な成長を目指し、IoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)を活用するなど、生産性を向上させる取り組みも不可欠だ。
(2019/1/31 05:00)
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