[ オピニオン ]
(2019/2/5 05:00)
建設から約90年と約100年の歴史を持つ二つの木造駅舎が役目を終えた。小田急電鉄の片瀬江ノ島駅(神奈川県藤沢市)とJR常磐線の夜ノ森駅(福島県富岡町)である。老朽化が理由の一つだが、両駅の事情は異なる。
観光地、江の島の最寄り駅である竜宮城をイメージした片瀬江ノ島駅は訪れた多くの人たちに親しまれた。2020年東京五輪のセーリング競技会場に江の島が選ばれたこともあり同年5月、新駅舎に生まれ変わる。
一方、夜ノ森駅は東京電力福島第一原発事故に伴う帰還困難区域内にあり放射線量が高く老朽化もあって解体を決めた。常磐線が全線復旧する19年度末までに新駅舎を整備する。駅名が入った看板などは別の施設に保存展示するそうだ。
片瀬江ノ島駅は何度も利用したことがある。夜ノ森駅は原発事故前に列車で何度か通過したが下車したことはない。ただ、駅周辺がサクラやツツジの名所で多くの人々の目を楽しませていたことは知っていた。
駅は観光地や町の玄関口であるだけに利用客の記憶に残りやすい。海水浴や花見といった楽しい思い出とともに。両駅は新時代の幕開けに合わせて再スタートを切る。利用する人々の記憶に残る駅であってほしいと切に願う。
(2019/2/5 05:00)