[ 機械 ]
(2019/2/8 05:00)
【CBN小型クランクシャフト研削盤GF16Sシリーズ】
労働人口の減少で自動化が求められる中、ロボットの需要はさらに高まる。ジェイテクトは得意の研削盤で、ロボットの小型偏心シャフト部品の加工に最適な機種を開発した。
従来は自動車エンジンのカムシャフト用研削盤を同部品の加工にも提案していたが、スペック過剰だった。同部品に合った小型機を開発し、生産性向上を目指した。
小型化のため着手したのが、砥石(といし)台のモーター変更だ。従来の三相誘導モーターからダイレクトドライブ(DD)モーターにしたことで、約4割軽量化した。変更により砥石台の重心が低くなり、加工精度が向上する効果もあった。
地道な取り組みもあった。クーラントタンクの形状を従来の横長から縦長に変えるなどして、設置スペースを約4割削減した。清田大工作機械開発部標準機開発室研削グループ主担当は「簡単にはできず、いろいろ考えた」と振り返る。
この際、ジェイテクトのグループ力が真価を発揮した。清田さんはクーラントタンクを手がけるグループ会社、CNK(愛知県刈谷市)の協力を受けて新型タンクのモデルを作り、スペース削減に成功した。
小型化と並んで重要だったのが、加工時間と精度だ。ここでも、グループ会社が貢献した。研削能率と表面粗さを両立する砥石を開発することになり、グループの砥石メーカー、豊田バンモップス(同岡崎市)が担当した。
最新の砥粒(とりゅう)と結合材を用いたほか、切り粉が抜ける気孔を大きくしたことで加工精度を高めた。カムシャフト用に比べ、表面粗さは1ケタ改善した。ジェイテクトの井土雅裕執行役員は「小型偏心シャフト部品の加工は高精度が求められるため面粗さは重要」と意義を説く。
ロボット部品に最適な研削盤は2018年8月末の発売後、複数社から受注が決まった。ロボットのほか、コンプレッサー向けの需要も見込めるという。新たな需要が見込める分野に機動的に製品を開発・投入できたのは、グループ含めた研削盤のノウハウの蓄積があってのことだ。(名古屋・戸村智幸)
【製品プロフィル】
砥石台の送りと加工対象物(ワーク)の回転を同時2軸制御し、ワークの偏心部に砥石台を追従させて研削する。DDモーター採用による砥石台の低重心化などにより、偏心部の真円度が1マイクロメートル(マイクロは100万分の1)以下の高精度を実現した。加工時間はカムシャフト用研削盤に比べて、約3割短縮できた。消費電力は約半減した。
(2019/2/8 05:00)