[ オピニオン ]
(2019/2/11 05:00)
農業就業人口が年々減少、高齢化が進み、耕作放棄地も広がっている。一方で、企業が農業に参入する事例が増えてきた。企業の農業参入は農林水産業と製造業、小売業との一体的な取り組みによって付加価値を生み出す「6次産業」の担い手としても期待される。
企業の農業参入は、2003年に耕作放棄地が多い地域で特区法による特例により容認したのが最初。05年に特区だけでなく全国に広げ、企業参入は105件に増えた。09年の農地法改正でリース方式による参入を自由化、企業参入は急増し、17年末には株式会社が1904社、特例有限会社やNPO法人などを含めると3030件になった。参入企業は農作物が自社の原料となる食品関連が600社以上と多いが、建設も300社を超え、卸・小売業、製造業も100社以上にのぼる。
10年に260万人だった農業就業人口は年々減少し、18年には175万人になった。1980年に約12億平方メートルだった耕作放棄地は15年に3倍以上に増えた。こうした中で政府は企業の農地利用規制を次々と緩和していった。
中小企業研究センター(東京都台東区)がまとめた「中小企業の農業参入に関する調査研究」は「政府は企業を農業の新たな担い手と位置付けるとともに農業分野の構造改革を進めている」と分析。企業の農業参入障壁の引き下げ、農産品輸出促進、6次産業化推進といった施策が中小企業の農業参入にどのように影響するのかを分析した。
同センターは農業参入した8社にインタビュー、参入動機は原料確保・コスト低減、経営多角化、定年退職社員の雇用確保、工場跡地の活用などさまざまだ。コンピューター関連企業はICT(情報通信技術)活用で農作業の自動化、建設業では建設現場で培った工程管理ノウハウを活用し稲作業務管理システムを開発という企業もあった。
日本のカロリーベースの食料自給率はここ数年40%を下回っている。政府目標の25年45%の達成にはますます企業の力が必要になりそうだ。
(2019/2/11 05:00)
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