[ オピニオン ]
(2019/2/22 05:00)
国内各地でベンチャー企業(VB)の支援が活発化している。産学官金が起業に対する熱気を醸成し、総力を上げてVBを支援していくことでイノベーションを創出することができる。地方経済のエコシステムも生む。VB支援の成功例を共有しノウハウの中で生かせる部分を生かす柔軟さが必要だ。
ベンチャーエンタープライズセンター(東京都千代田区)がまとめた「ベンチャー白書2018」によると、VBの経営環境等に関するアンケートで「起業を決意してから事業開始までの期間」で最も多かったのが「起業を決意した年」の46・1%。翌年を含め1年以内の企業が80%以上となり、VB経営者の意欲的な姿勢がうかがえる。
一方で「起業に関する教育、研修を受けた」と答えた人は37%にとどまり、63%が「教育を受けていない」と回答した。近年は大学や金融機関などによるセミナーに積極的に参加する人も増えているようだが、主催者は起業プログラムの認知度向上やきめ細かい支援策などをより前面に出す必要がありそうだ。
加えてスタートアップ企業を支援する組織「シードアクセラレーター」の役割も重視されている。同組織は事業化の課題抽出と戦略の検討、課題克服に向けての助言などを行う。さらに自らVBに出資するほか、起業プログラム終了時に投資家から新たな出資を得るための最終プレゼンテーションの場を設けるケースもある。
イノベーション・アクセル(大阪市)は、スタートアップ企業と中小企業のベンチャー型事業承継の二つの支援を手がける。共同創業者の忽那憲治神戸大学大学院教授は「相互の領域をかけ合わせることでイノベーション創出が期待できる」と話す。シードアクセラレーターとして有望企業に出資も行う。
こうしたVB支援の取り組みを披露し、地域の産学官金がノウハウを共有していくことが必要だ。大企業の役割も大きい。独自性を持つVBと新領域に進出し、オープンイノベーション創出の契機となるだけに積極的な関与を期待したい。
(2019/2/22 05:00)
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