[ オピニオン ]
(2019/2/25 05:00)
半年ぶりに再訪した中国・大連でキャッシュレス決済先進国の実力を見せつけられた。街中の有料駐車場を利用した時のこと。
前回は現金払いだった精算が対話アプリ「微信(WeChat)」のモバイル決済に切り替わっていた。現金は一切受け付けない徹底ぶりに閉口したものの、この強引さが“先進国”たるゆえんだと納得した。
人工知能(AI)や自動運転などデジタル革新の社会実装は、日米欧の掲げる自由主義より共産党支配の社会主義の方が有利な面があるのは否定できない。もちろん個人の権利を多少犠牲にした上での話だが「右向け右・左向け左」が容易な国家のメリットだろう。
大連の駐車場では、老夫婦が悪戦苦闘しながらスマートフォンで料金を支払っているのが印象的だった。郷里に暮らす我が老親はいまだガラケーで、どうにかメールが使える程度。デジタルトランスフォーメーションに国家体制の違いを持ち出すと見誤ってしまうかもしれないが、国民レベルの変わり身の速さを日本も見習うべきか。
最大の商機である春節が一段落した中国。一方で米中貿易摩擦が暗い影を落としている。彼の国の消費者の懐具合や決済のあり方は、いまや世界経済に直結している。
(2019/2/25 05:00)