[ オピニオン ]
(2019/3/6 05:00)
大学の運営・教育と研究の一体的な改革が、国立大学を中心に本格化してきた。従来は別々に施策が進められたが、本来これらは分けて設計できるものではない。連動して変えることで大学人、行政官、納税者の誰もが納得できる流れを、なんとしても確立してもらいたい。
大学改革は2004年の国立大学法人化を機に、運営を中心に続いてきた。担当は旧文部省系の高等教育局だ。教育の機会均等を重視するなど保守的な面を持ち、財務当局と各大学に挟まれて苦しい15年間だった。
一方、ここ数年は国際的にみた研究力の低下が耳目を集めた。これに対応するのは旧科学技術庁系の複数の研究関連局だ。産学連携・イノベーションなど社会動向に敏感な面がある。運営費交付金の削減と競争的研究費の増大は同時に進んだが、基本的に別の観点での施策だった。
しかし1年ほど前、内閣府の総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)が足を踏み入れて潮目が変わった。文科省は今、大学の運営・教育と研究の改革を同時に手がける政策提案「高等教育・研究改革イニシアティブ」(柴山イニシアティブ)に取り組む。
2019年度予算案では「共同研究などで外部資金獲得が多ければ、運営費交付金の評価・配分部分に反映される」(科学技術・学術政策局)仕組みが導入される。基礎や文系が中心の大学への配慮は必要だが、改革の連動を象徴するものだ。また「個人が対象の科学研究費助成事業も、若手研究者の国際化プランは高等教育局とともに設計した」(研究振興局)と、省内の連携も進展しつつある。
伝統を重んずる大学人は「大学改革が間違っているから研究力が低下した」と主張し、変化を求める有識者らは「研究力が低下しているから大学改革を強化すべきだ」と批判する―。こういった長年の対立の構図を解消しないままでは、国民の理解は十分に得られない。政府関係者には国民の賛同と応援を引き出す、俯瞰(ふかん)的で優れた方策を押し進めてもらいたい。
(2019/3/6 05:00)
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