[ オピニオン ]
(2019/4/10 05:00)
神功皇后(じんぐうこうごう)と聞いて、ご存じの方はかなりの歴史通だ。応神天皇の母親で、明治14年(1881)に日本で初めて紙幣の肖像になった人物だ。
その後、紙幣に肖像が採用されたのは、現在の「福沢諭吉」、「樋口一葉」、「野口英世」を含めても17人にすぎない。これに新たに「渋沢栄一」、「津田梅子」、「北里柴三郎」の3人が加わる。
海外では、現役の国家元首が登場するケースがあるものの、日本の場合はすでに亡くなられた人物を採用している。生きているうちに、評価を定めるのは難しいためだ。とすると、現在人気の高いスポーツ選手やタレント、現役の政治家が肖像として使う訳にはいかない。
実は明治時代には、明確な基準があった。1897年9月「兌換(だかん)銀行券人物抽出の件」を閣議決定している。「本邦上古より、洪勲偉績あるものにして、万古にわたり衆人の敬愛仰慕浅からず」として、聖徳太子や菅原道真ら計7人の肖像を採用するとした。
新紙幣の3人を含めた20人のうち、女性はわずか4人。神功皇后を除いては、ずっと男性が占めてきた。それが2000年以降、紫式部、一葉に続いて、津田が名を連ねることになった。社会だけでなく、紙幣の世界でも女性進出が目覚ましい。
(2019/4/10 05:00)