[ オピニオン ]
(2019/4/11 05:00)
環境問題は平成になって様変わりした。昭和以前は先進工業国における国内の“公害”だったが、昭和末期から平成では地球規模の問題となった。各国で産業が活発化、国や地域の枠を超えて汚染物質が大気や海洋に広がったことが原因といえる。
日本の昭和時代は、水俣病やイタイイタイ病、四日市や北九州の煤煙による喘息など工場廃液や排ガスが健康被害を引き起こした。自動車排ガスによる大気汚染や騒音も問題になった。これらは規制強化もあって国内の公害は沈静化に向かった。
一方で、地球規模の環境問題が浮上した。昭和終盤に有害紫外線を防ぐオゾン層がフロンなどで破壊されることから、これらを規制するモントリオール議定書を1987年に採択した。さらに平成に入り、地球環境問題が世界的な関心事になった。
92年にはブラジルで環境と開発に関する国連会議(地球サミット)が開催された。国連加盟172カ国の政府代表が参加、各国の非政府組織(NGO)も多数参加する一大イベントだった。気候変動枠組み条約と生物多様性条約のほか、リオ宣言などが採択された。
各国が地球環境保全に向けて取り組むことで合意、その後、条約締約国会議(COP)が毎年開かれ、気候変動は97年のCOP3で先進国の温室効果ガス排出量削減率を決めた京都議定書を採択。2015年には196の国・地域が参加するパリ協定が採択され翌年発効。産業革命前からの気温上昇を2度に抑え、1・5度が努力目標だ。近年では海洋プラスチック汚染の広がりが問題視されている。
大気も海洋も世界中につながっているので環境問題は自国だけで解決できない。すべての国が温室効果ガス排出を抑え、プラスチック使用を削減することが求められる。日本でも事業に必要な電気を100%再生可能エネルギーで調達するRE100や省エネ50%改善などを目標とするEP100といった国際イニシアティブに加盟する企業が増えてきた。令和は温室効果ガスを排出削減した企業が世界で勝利する時代といえよう。
(2019/4/11 05:00)
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