[ オピニオン ]
(2019/4/17 05:00)
私事で恐縮だが、クラウドファンディングで香港ベンチャーが提案する小型パソコンに出資した。開発段階で投資を募り、完成すれば製品を割安に入手できる“購入型投資”だ。
手のひらサイズの「ウルトラモバイルPC」は、かつて日本勢が実用化して世界を驚かせた分野。昨年から複数の中国企業が参入し、激しい性能向上競争を繰り広げている。その多くがクラウドファンディングを活用する。
驚くべきは価格。液晶画面や電池はじめスマートフォン用の高密度部品を活用することで、日本円なら数万円程度。かつての日本製の超小型パソコンより1ケタ安く、出資者にとってもハードルが低い。
ソフトの開発なら人件費が中心だが、ハードは試作に工作機械を動かすなど外注費がかかる。前もって見込み客から開発費を集められるクラウドファンディングなら、資金繰りも楽。機器ベンチャーを志す若者にとって頼りになる調達方法だ。
残念なのは、そこに乗り出す日本勢をあまり見ないこと。逆に新しモノ好きの日本人は、出資する側の“上客”なのだと聞いて複雑な気持ちにさせられた。ネットの向こうに、ひとつでも多く日本発の魅力的な開発プロジェクトが生まれることを願ってやまない。
(2019/4/17 05:00)