[ オピニオン ]
(2019/5/6 05:00)
改正パートタイム労働法が2015年4月に施行され、正社員との差別的取り扱いが禁止されるパートタイム労働者(以下パート)の対象範囲が広がった。また、短時間で働く労働者の待遇が正社員と違うものにする場合は仕事の内容や人材活用の仕組みなどを考慮して不合理であってはならないことなどが盛り込まれた。
少子高齢化による労働人口の減少や一定時間に縛られない多様な働き方が求められるなか、全労働者に占めるアルバイトなどを含めたパートタイム労働者は年々増えている。総務省の統計によると、1992年に全産業で20数%、製造業で20%に足りなかったが、17年にはそれぞれ38%、27%に達した。
例えば、1日の通常勤務が8時間とすると、パートが1日4時間の契約なら残りの4時間は代替者が作業することになる。東京理科大学理工学部経営工学科の日比野浩典准教授らは、このようにパートが限られた時間帯で勤務する場合、生産性がどのように変化するかを評価するシミュレーターを開発した。
6工程で構成される自動車部品の組み立てラインを想定。入力するデータは(1)パートと代替者の習熟度が未熟、熟練(若年)、熟練(老年)の3パターン(2)パートの作業時間を1―8時間に設定。パートの習熟度3通りと8時間、代替者の習熟度3通りを掛け算して72通りの組み合わせとなる。
これらのデータを基にシミュレーションすると、パートと代替者の作業時間と習熟度の組み合わせによって生産性に変化がみられた。勤務時間で見るとパートと代替者のどちらかの稼働時間が長い方が時間当たりの生産量の減少を抑えることができる。したがって、パートと代替者の組み合わせを工夫することによってサイクルタイムの改善が可能になり、生産効率が向上、時間当たりの生産量が増えてくることが分かった。
働き方の多様化が進む中で、スキルが求められる製造業でもパートを雇用することが多いと思われる。この研究成果はそうした場面で役に立ちそうだ。
(2019/5/6 05:00)