[ オピニオン ]
(2019/5/21 05:00)
徴用工問題や従軍慰安婦問題などで対立が深まり、日本と韓国の関係は「戦後最悪」とも評されている。こうした状況が続くことは両国にとっても、東アジア諸国にとっても、好ましいことではないのは自明だ。
韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、日本ではあまり評判が良くない。文政権の強硬な対日政策だけが強調されているせいもある。しかし、韓国では、人柄の良さや弱者に寄り添う姿勢が評価されて、リベラル層を中心に根強く評価されているという。
文大統領が「親日(チニル)清算」を訴えた3・1独立運動百周年記念式典の演説は、日本で反発を呼んだ。クォン・ヨンソク一橋大学准教授は、「親日(チニル)という概念が日本では一般的に誤解されている」と指摘する。
クォン氏によると、この演説の趣旨は、植民地時代に国を売って日本に協力した勢力が解放後、南北分断体制下で清算されなかったことから、その残滓(ざんし)をきちんと清算しようということで、現代において日本に近い人々を排斥しようとするものではないという。
昨今の対立で双方の「本音」が分かったといった見方もある。歴史問題も盛り込んだ日韓の新たな関係構築に向けて、両国が対話の扉を開き、新たな友好条約を結ぶ時かもしれない。
(2019/5/21 05:00)