[ オピニオン ]
(2019/5/21 05:00)
中国経済の減速を主因に景気後退の可能性が高まる中、明るい経済指標が明らかになった。近く行われる月例経済報告で発表される政府の景気判断への追い風といえるもので、10月の消費税引き上げに影響しそうだ。
内閣府が20日に発表した2019年1―3月期の実質国内総生産(GDP)1次速報値は、年率2・1%増で2期連続の増加となった。大方の予想を覆した結果について茂木敏充経済再生相は「内需の増加傾向は崩れていない」とし、消費増税は予定通り実施する考えを示した。
先週発表された景気動向指数に基づく景気の基調判断が6年2カ月ぶりで「悪化」となり、景気後退の可能性があることが明らかになった。このため「10月の消費税率引き上げは愚の骨頂だ」「先送りが賢明」という声が高まり、政府の公式な景気判断に関心が集まった。
月例経済報告の景気判断は、機械的に算出される景気動向指数などと異なり、雇用情勢や企業収益、設備投資などを加味して総合的に判断される。近く行われる5月の月例経済報告でも4月の「輸出や生産の一部に弱い動きが見られるが、緩やかに回復している」を踏襲することが予想され、消費増税先送りの圧力は弱まるものとみられる。
過去2回にわたって消費増税を先送りしてきた安倍晋三首相は今度こそ消費増税を実現したい意向。財政再建の財源であることに加え、幼保無償化の財源でもあるうえ、すでに軽減税率導入の準備が進んでいることも消費税引き上げ実施の意欲につながっているようだ。
わが国景気の阻害要因となっているのは中国経済の減速。日本企業の対中輸出が減少し、製造拠点を中国から東南アジア諸国や国内に移す動きも出ている。さらに米中貿易戦争は、両国がすべての品目に追加関税をかける最悪の事態に発展する可能性があり、今後の世界経済に与える不透明感は増すばかり。
こうした米中の緊張状態が続けば、景気後退圧力が高まるのは必至で、政府には慎重な景気判断と景気後退を防ぐ大胆な経済対策が望まれる。
(2019/5/21 05:00)
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