[ オピニオン ]
(2019/5/20 05:00)
わが国の農業就業人口は2008年に300万人近かったが、18年には175万人に減少した。一方で、企業の農業参入などによる新規雇用就農者はここ数年増加傾向にある。
これまで家業として代々、農業を引き継いできた農家の人たちは経験と勘で作物を育てることができるかもしれない。だが長年、都会で働いていたが、父親が高齢になって農業を引き継ぐ人、あるいは農業への新規参入者にとって経験と勘を養うのは容易ではない。
NTTデータはこうした問題を情報技術(IT)によってサポートする取り組みの試行サービスを4月に始めた。例えば、イネを育てるうえで、どの時期にどの肥料をまけばよいかを、経験と勘ではなくデータに基づいてできるようなシステムだ。
田植え後のイネをスマートフォンで撮影し、生育がどの段階にあるかを撮影した画像によって人工知能(AI)が判断、経験が乏しい人にも、イネの生育状態を提示してくれる。また、作物に付いた虫をスマートフォンで撮影すると、虫の種類に応じて、適切な農薬の種類など退治方法を提示してくれる。これらを一つひとつ経験者から後継者に引き継ぐと、膨大な量になってしまうが、データ化されていれば、後継者に知識がなくても適切な判断ができる。
同社は18年10月に生産者・農協向けに営農業務の生産計画作成から栽培記録の確認ができる営農支援基盤「あい作」を発売しており、今回はその付加機能になる。農林水産省「スマート農業技術の開発・実証プロジェクト」に採択され、4月から飛行ロボット(ドローン)で撮影した画像をもとに、イネの生育判断や病害虫の診断・予測をする実証実験も始める。
工場のモノづくりの感じがしないでもないが、農業も先端技術を取り入れていく時代になったのだろう。それにより日本の農業を活性化できれば結構なことだ。おいしい作物を安価で供給していただければ、ありがたい。また40%を切っている食糧自給率の向上にもITの活用が貢献することを期待したい。
(2019/5/20 05:00)
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