[ オピニオン ]
(2019/5/29 05:00)
政府は、6月にもまとめる認知症対策の指針となる大綱で、「予防」を柱の一つと位置付ける。実現には、革新的な技術やサービスが適正に評価され、速やかに社会に普及させる施策が欠かせない。
これまで政府は2015年に策定された認知症施策推進総合戦略(通称「新オレンジプラン」)に基づき、認知症の高齢者を地域で支える施策を中心に対策を講じてきた。新たな大綱では、「共生」と「予防」の双方に軸足を置く。
民間企業を中心に、最先端の技術や斬新な発想で認知症対策に挑む動きが広がっている。例えば、可視化が困難な介護現場の経験値を人工知能(AI)に蓄積することで、認知症患者の介護の質向上につなげたり、自治体が保有するデータ解析を通じて、認知症ケアの介入効果の検証につなげる取り組みも始まっている。脳機能維持のための「未病ソリューション」を提供する動きも広がる。
他方、医療や介護の現場に豊富なデータやノウハウが蓄積されながらも、これが生かし切れていないとの指摘は根強い。とりわけ実績に乏しいスタートアップは、自社の技術やサービスが合理的なルールの下で適正に評価されることを求めている。こうした声に応え、認知症対策につながる機器やサービス市場を育成することは、国民一人ひとりがイノベーションの恩恵に浴することにつながる。
こうした中、政府が新たな施策として認知機能の低下を抑える機器やサービスについて、効果を検証する枠組みや評価指標づくりに乗り出すことはひとつの前進といえる。これを弾みにエビデンスの取得と活用の双方で官民の連携を期待したい。
年をとれば誰にでも起こりうる認知症。厚生労働省の推計によると、15年の認知症高齢者数は約520万人。25年には約700万人に上り、5人に1人が認知症と推計され、高齢者全体の増加率を上回るスピードで増えることが見込まれている。患者だけでなく、家族の負担や社会的な費用も大きい問題に、官民の知恵を結集して挑みたい。
(2019/5/29 05:00)
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