[ オピニオン ]
(2019/6/19 05:00)
政府は乗用車の新たな燃費規制について、2030年度にガソリン1リットル当たり25・4キロメートルを義務付ける基準を示した。新基準はガソリン車だけでなく、電気自動車(EV)も対象としており、EVによる環境負荷を考慮した点は評価したい。自動車メーカーは新基準の目的を理解し、EVの普及とエネルギー消費の改善に努めてもらいたい。
政府の有識者会議が議論し、基準案を了承した。新基準では、16年度の実績値に比べて32・4%、20年度燃費基準推定値に比べて44・3%の燃費改善率をメーカーに要求する。普及が期待されるEVとプラグインハイブリッド車(PHV)も企業別平均燃料値の対象に追加し、1キロメートルの走行に必要な電力を示す「電費」の数値を導入した。
EVを対象に加えた措置に伴い、使う電気についても、環境性の高さを求めた。非効率で二酸化炭素(CO2)排出量が多い石炭火力発電から得た電気では、いくら環境性の高いEVを普及させても地球環境全体から見ると効果が薄れるためだ。
そこで新基準では、エネルギー消費効率の算定方法を転換。走行時のエネルギー消費を評価する「タンク・トゥ・ホイール(燃料タンクから車輪まで)」の考えから、燃料採掘や発電の際の消費も算定する「ウェル・トゥ・ホイール(油井から車輪まで)」に変える。利用プロセス全体での効率性や環境性をメーカーや消費者に意識させ、技術競争を促すのが狙いだ。
メーカーが新基準を満たすにはEVの販売拡大が欠かせない。しかし、電費という効率性の問題や、燃料採掘・発電時の環境性の問題を考慮せずにEVを普及させれば、地球温暖化の取り組みから後退する恐れもある。新基準はこうした点を強く意識し、効率性や環境性の高いEVの開発を喚起している。
この考え方を取り入れてEVを開発すれば、メーカーにとっても恩恵がある。EVが普及する中国や欧州に比べ、より高い性能を訴求できるためだ。各社はEVの国際競争力を強化する観点からも新基準の達成を前倒しで進めてもらいたい。
(2019/6/19 05:00)
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