[ オピニオン ]
(2019/7/2 05:00)
日本経済は雇用情勢が良好な中、国内総生産や鉱工業生産が増加する一方で、世論や企業への調査では景気後退の可能性を懸念する声が高まっている。今後、企業が力強さを取り戻し、景気を押し上げるには何が必要なのだろうか。
日銀が1日に発表した6月調査の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、代表的な指標である大企業製造業の業況判断DIは、前期比5ポイント悪化のプラス7と前回3月調査に続いて悪化した。
景況感の悪化は、低調な個人消費や人手不足による人件費、物流費などのコストアップ要因もさることながら、米中貿易戦争の長期化と中国経済の低迷が主因だ。このほど大阪で行われた米中首脳会談の結果、米国による追加関税第4弾は見送りとなったが、両国間の緊張状態は続いているため、世界経済への不透明感は払しょくされていない。
ただ、3カ月先の見通しを示す先行き判断DIは横ばいで、悪化傾向には歯止めがかかりそうだ。原油価格の下落による交易条件の改善や長期金利の低下、改元や軽減税率導入に伴うシステム投資の増加といった要因が景況感を押し上げているようだ。
米中貿易戦争の激化を背景とした世界経済の減速懸念から、欧米の中央銀行は金融緩和にカジを切ろうとしている。米連邦準備制度理事会(FRB)は年内に利下げに踏み切る意向。欧州中央銀行(ECB)も利下げの可能性を明らかにしている。
このため、日銀に対しても追加緩和圧力がかかるが、日銀は追加緩和の余地が乏しく、難しい政策運営を迫られそうだ。
景況感を冷え込ませている主因が米中貿易戦争とあって、企業は製造拠点を中国から東南アジアや国内に移して、生産の維持に努めている。
さらに、国内では「ものづくり補助金」や「IT導入補助金」などの投資支援策を活用し生産性向上を目指し、賃上げを実現し更なる生産性向上を図るべきだ。そうした自助努力が景況感回復につながるに違いない。
(2019/7/2 05:00)
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