[ オピニオン ]
(2019/7/5 05:00)
バブルと言うと、日本の不動産バブルやリーマン・ショックを引き起こした米国のサブプライムローン(信用力の低い低所得者層向け高金利住宅ローン)バブルがまず思い浮かぶ。
しかし、実はバブルは現代に限ったことではない。明治初期には、ウサギ・バブルが日本を席巻した。西洋産のウサギの飼育が大流行して、美しい毛並みを持つ個体が高値で取り引きされていたという。
ウサギ科は、大きくノウサギ属とアナウサギ属に分けられる。日本には、ノウサギしか生息していない。日本は鎖国を解き、幕末から明治にかけ西洋からアナウサギに属するカイウサギが入ってくるようになる。
ノウサギしか知らなかった日本人にとって、さまざまな模様の毛皮を持つカイウサギは珍しい。飼う人が急に増え、ウサギの売買や毛並みの品評会を行う「兎市」が開かれるようになる。東京では、相撲の番付表にならい「東花兎(アズマハナウサギ)全盛」という番付表も作られた。その中には三井、鴻池、京極といった大商人も名を連ねた。
ウサギをめぐるトラブルが増えたため、業を煮やした東京府は、ウサギ1羽につき毎月1円のウサギ税を課す通達を出し、バブルは幕を下ろす。人間の欲は今も昔も変わらない。
(2019/7/5 05:00)