[ オピニオン ]
(2019/7/11 05:00)
準大手ゼネコン各社が業界の共通課題である担い手不足の解消へ動きだしている。特に現場の施工を支える協力会社への積極的な支援が目立つ。幸い、建設業界は旺盛な民間需要と堅調な公共投資に支えられ活況が続く。準大手10社も2019年3月期末の繰越高が計6兆1063億円まで積み上がり、20年3月期連結業績予想は8社が増収を見込む。外部環境が良好な今こそ、各社が知恵を絞り協力会社の支援を手厚くしていくべきだ。
建設業では、高齢者の大量退職を受け、25年度には112万人の作業者が不足し、新たに77万人を補っても35万人が不足するとの試算がある。この不足分を生産性向上だけで補うのはハードルが高い。
こうした中、五洋建設は協力会社の週休2日(4週8休)取得を促す支援策に乗り出す。協力会社の技能労働者が4週6休以上の休日取得目標を達成すれば、労務費を「1―5%」上乗せして支払う。対象は同社工事で連続1カ月以上、現場に従事する協力会社。7月以降、新規受注工事の下請け発注工事から実施する。「積極的に休んでもらえる意識を醸成し、将来の担い手確保につなげたい」(山下朋之取締役)と意気込む。
前田建設工業は中長期の人材確保が大きな課題と認識し、主要協力会社組織「前友会」とともに新入社員の採用、生産性向上、人材育成、次世代への承継に取り組む。秋に完成するICI人材開発センター(茨城県取手市)では「協力会社の方々に来てもらい、研修、技術開発を一緒にやる。情報発信も行う」(前田操治社長)考え。
生産年齢人口が減る中で、施工量を増やす体制整備に取り組むのが東急建設。傘下の協力会社、建築系の約100社弱の会社と連携を進める方針を掲げており、「施工量が増えれば協力会社の仕事量も平準化する」(今村俊夫副会長)といい、双方の利点を追求する。
準大手の動きは中堅ゼネコン各社にも広がりつつあり、担い手確保という難題の解決を業界一丸となって推し進めたい。
(2019/7/11 05:00)
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