[ オピニオン ]
(2019/7/25 05:00)
米連邦準備制度理事会(FRB)が7月末にも利下げに踏み切る可能性が大きい。足下(あしもと)の米国経済は堅調そのものだが、米中貿易摩擦により景気の先行きに不透明感が漂っているため。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁も欧州経済を刺激するためには利下げが必要との見方を示しており、世界的な金融緩和機運が高まる中、日銀への追加緩和圧力が強まるのは必至だ。
最近発表された米国6月の非農業部門雇用者数は前月比22・4万人増と、市場の予想を大幅に上回り、失業率も3・7%と低位を維持する。雇用の力強さは、米国経済が引き続き良好に推移していることの表れで、ダウ平均株価は高値圏で推移している。つまり景気刺激のための利下げは必要性ないといえる。
しかし、議会証言したFRBのパウエル議長は「貿易摩擦をめぐる不透明感と世界経済の減速懸念が米国経済の重石(おもし)になっている」と強調し、利下げに前向きな姿勢を示した。市場では、今月30、31日に開かれる連邦公開市場委員会(FOMC)で予防的な利下げが行われるとの見方が支配的だ。
米国の利下げは、円高・ドル安を加速させる恐れがある上、円高が日経平均株価の下押し圧力となるため、日銀は追加緩和を迫られそうだ。だが、追加緩和の具体策には事欠くというのが実情で、上場投資信託(ETF)買い入れ増額や金融政策の先行きを示す指針「フォワードガイダンス」強化くらいしか考えられない。
日銀の今月の金融政策決定会合はFOMCの前日に開かれるため、FRBの政策変更を待たずに政策を決定しなければならない。仮に日銀がFRBに先んじて追加緩和に踏み切った場合、トランプ米大統領に「通貨安誘導だ」と批判されそうだ。
トランプ大統領は、米国経済が良好な状態にあるとした上で、FRBが利下げすれば更なる急成長を遂げると述べ、FRBに利下げを求めた。こうした中でFRBが利下げすると、大統領の要求に屈したとみられ信頼が損なわれるため、利下げする場合は丁寧な説明が必要だ。
(2019/7/25 05:00)
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