[ オピニオン ]
(2019/9/5 05:00)
今も昔も、監査役は地味な職務。それでも「企業の健全な発展に重要だという意識は、着実に高まっていると感じる」と話すのは、日本監査役協会(東京都千代田区)会長で前三井物産常勤監査役の岡田譲治さん。
「内部通報制度の利用なども増えていて、不祥事の未然防止に役立っている」という。ただ幅広い事業を展開する巨大企業の場合、数人程度の監査役では目が行き届かないのも事実。
岡田さんは「そういうケースは“本業”ではなく、弱い事業を重点的に見る」。強い分野なら、それなりに人も育つし士気も高い。「問題が出やすいのは弱い分野だ」。
日立製作所の監査にあたる取締役監査委員の中村豊明さんは「意外かも知れないが、従業員のアンケートが役に立つ」という。不満が高い事業部門ほど、何らかの課題を抱えていることが多いというのが理由。最高財務責任者(CFO)を経験したが「監査役になってからの方が見えてくる部分もある」のだとか。
企業の不正と結びつけられがちな職務だが、必ずしもそうとは限らない。中村さんは「投資家に約束した利益率を守れない事業の改善を求めるのも監査」と強調する。なるほど、さまざまな視点があるものだと考えさせられる。
(2019/9/5 05:00)