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[ 科学技術・大学 ]
(2019/9/8 05:00)
人工知能(AI)の深層学習(ディープラーニング)という手法を使い、野生のチンパンジーの録画映像から個体の顔を9割以上の正答率で識別することができたと、京都大などの研究グループが発表した。論文は米科学誌「サイエンス・アドバンシズ」の電子版に掲載された。
京大は1976年から西アフリカ・ギニアで野生のチンパンジーを調査。小山の頂上の実験場にカメラ3台を設置して撮影しており、2000-13年の計約50時間分を英オックスフォード大がAIで解析した。
研究によると、AIは顔が映った画像を約1000万枚見つけ出して判断。同じ場面では時間の経過とともに正答できるようになり、23個体について92.5%で見分けられた。雌雄は96.2%を判別できたという。
映った顔の大きさが違ったり、一部が隠れていたりしても正しく識別。一緒に映った回数などを解析したところ、メス2頭が高齢になるにつれ、群れから少し離れて生活するようになったことが裏付けられた。
京大の松沢哲郎特別教授は、AIが人間には不可能な大量のデータを処理できると指摘。「野外研究の新たな解析手法で、チンパンジーの社会の変化を明確に示した」と話している。(時事)
(2019/9/8 05:00)