(2019/11/4 05:00)
消費税率の10%への引き上げから1カ月。増税による経済の混乱は避けられた。政府の対策を評価したい。
懸念された増税前の駆け込み需要は限定的だった。日本自動車販売協会連合会による自動車の国内販売台数は、2019年9月に前年同月比12・8%増を記録。経済産業省がまとめた9月の小売業販売額(季節調整済指数)も前月比7・1ポイント増の高い伸びを示した。
いずれも増税を意識した消費者の行動が推測できる。ただ8月以前は落ち着いた数字を示しており、仮需は極めて短期的なものだった。
また最も額が大きく、過去に需要の激変に苦しんだマンションや戸建て住宅関連では「ほとんど駆け込みはみられなかった」(菰田正信不動産協会理事長=三井不動産社長)という。このため「(今後の)反動減も限定的ではないか」(同)と見通している。
一部にぎくしゃくした部分はあるが、国民は予想以上にスムーズに増税を受け入れたといえよう。産業界でも「今のところ(増税は)日本経済に大きな影響を及ぼしてはいない」(中西宏明経団連会長=日立製作所会長)とみている。過去の消費増税局面とは異なる印象だ。
混乱を避けられた要因には、景気が堅調だったこともあるだろう。ただ何より、政府が過去最大規模の増税対策を準備したことが奏功した。住宅や車などの高額商品では、増税後の優遇策まで検討する購入者が増えたという。最も身近な食品が軽減税率になったり、クレジットカードの利用でポイント還元が約束されたりしたことも消費者の不満の抑制に役立った。
これまで消費増税を手がけた内閣は支持率を失い、政権を維持できなかった。安倍晋三政権による2度の税率引き上げは特筆される。消費増税への国民の過度の反発を和らげることができれば将来、冷静な税制改革の議論が可能となろう。
だからといって政府が安易な増税に走ることは許されない。歳出削減をさらに進め、国民の信頼と納得を得てほしい。
(2019/11/4 05:00)
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