(2019/12/6 05:00)
過大な経済対策と批判されないためにも成果を期待する。
政府は5日、新たな経済対策を閣議決定した。災害からの復旧・復興と、世界経済の下振れリスクへの重点支援、東京五輪・パラリンピック後の景気減速への対策を3本柱と位置付け、経済成長を促す。
財政支出は、国・地方の支出と国が低利で民間事業に融資する財政投融資を合わせて、13兆2000億円。事業規模は26兆円の大型対策。国・地方の歳出合計は9兆4000億円にのぼる。2019年度補正予算と20年度の当初予算を一体で編成する15カ月予算とし、シームレスな景気てこ入れを狙う。政府は「実質GDPの押し上げ効果は1・4%」と試算する。
政府は「経済の下方リスクを確実に乗り越えるには、思い切った財政政策を講じるべき時」と、大型対策の必要性を説明する。
問題はその中身だ。まず喫緊の課題として、台風19号など被災地での復旧支援は迅速に取り組む必要がある。被災した中小企業をグループ補助金や資金繰り支援で復興を後押しすることは早期に手を打つべきものだ。
経済の下方リスク対策として、中小企業の生産性向上や海外展開支援策、就職氷河期世代への重点支援を盛り込んだ。また、今後の成長への土台作りとなるものとして、第5世代通信(5G)のインフラ整備と、ポスト5Gの開発や半導体技術開発を国家プロジェクトとして推進することを挙げた。立ち遅れが目立つデジタル社会実現の基盤となることが期待される。高齢者の安全運転サポート車への購入支援も意味のあるものと言える。
一方で効果が見えにくいものも散見される。例えば小中学校に1人1台のパソコンを配布する施策だ。重要なのは生徒が何を学ぶかのソフト面で、教師の過重労働が問題となるなか、新たな負担になる懸念もある。
財源として赤字国債の発行は見送ったが、経済対策がバラマキと批判されないためにも、予算成立後の執行を効率化し、確実な成果を上げてもらいたい。
(2019/12/6 05:00)
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