(2019/12/11 05:00)
日本企業の情報管理に対する信頼が揺らいでいる。神奈川県の行政文書を保存したハードディスク(HDD)が、データ消去を委託した会社の従業員によって違法に転売され、県民の重大な個人情報が流出した。
データ消去を請け負ったブロードリンクは、転売されたHDDなどが3904個にのぼることを明らかにした。同社は官公庁との取引もあり、今回の神奈川県以外にも、公文書が流出している可能性も懸念される。
「きちんとやってくれているはず」―神奈川県もブロードリンクの管理者も、そう信じるのみで、適切な管理を怠り、個人の犯罪を見過ごした。ブロードリンクは監視カメラや定期的な荷物検査などを実施してきたというが、実効性に欠けていた。
従業員は窃盗容疑で逮捕されたが、「廃棄されるものなら見つからないと思った」と供述しているという。会社は重要な情報が入っているからこそ厳格な処理が必要であることを徹底して教えるべきだった。
従業員を信頼して大切にすることと、従業員に管理を丸投げすることは違う。従業員が大事であればこそ、企業は従業員が不正に手を染めにくい職場環境を整える努力が必要だ。今回の事件を、対岸の火事と思ってはいけない。
(2019/12/11 05:00)