(2019/12/18 05:00)
日本全体の課題である生産性向上をはかるうえで、ロボット導入が解決策の一つとして期待されている。世界最先端のロボットメーカーが多彩なロボット開発に取り組むのに歩調を合わせ、システムインテグレーター(SIer)やロボットを扱う現場の作業者など、ロボット人材の育成が急務だ。
政府は、2015年に「ロボット新戦略」を策定、ロボット大国日本の地位を維持し、生産性向上や少子高齢化社会における課題解決の手段として、ロボット活用を国が支援する方針を打ち出した。
すでに全国でさまざまな実証実験が繰り広げられ、ロボット活用の手応えは得られている。しかし、現実には中小企業の生産現場やサービス産業、介護現場でロボットの普及は期待するほどは進んでいない。
課題となるのが、ロボットを現場のニーズに即してカスタマイズするSIerや、ロボットを現場で操作する人材の不足だ。自動車は運転手がいなければ動かないのと同様に、ロボットも操作する知識がなければ使えない。しかし、高等専門学校や工業高校などの教育現場でも、ロボットの操作を教えられる教員数は圧倒的に不足しているという。
そこで産学が連携して、ロボット人材を育成する取り組みが始まる。経産省が音頭を取り、メーカー、SIerの業界団体と高専や工業高校が連携する協議会を発足させる。メーカーの協力で高専などの教員に最新のロボット技術を習得できる研修を施したり、学校にロボットを供与して学生がロボットに触れられるようにしたりする。
一方SIerには、生産プロセス全体を把握するスキルの取得を支援する。導入に悩む企業に、SIerが具体的に生産性向上を数値で示せれば、投資意欲も引き出せる。
ロボットがさまざまな現場で活躍する社会の実現が、課題先進国である日本にとって重要であることは間違いない。国をあげた取り組みで、ロボット人材の裾野が大きく広がることを期待したい。
(2019/12/18 05:00)
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