(2020/3/9 05:00)
77歳VS78歳−。米大統領選の民主党候補の対決だ。世界最大の経済大国のトップになりうる候補者たちが高齢化している。共和党候補の現職トランプ大統領も73歳と、若くない。
高齢化の背景に、外務省幹部はオバマ前大統領の功罪があると指摘する。国政での経験を十分積まずに40代で大統領に就任。スピーチは素晴らしかったが、任期中に所得格差は解消されず「チェンジ」は実現しなかった。その失望感が高齢候補を後押ししていると見る。
上智大学の前嶋和弘教授は「ラベリング効果がある」と指摘する。高齢候補はサンダース上院議員なら「民主社会主義者」、バイデン前副大統領なら「中道派」など“色”がある。それがわかりやすく、有権者にとって選びやすい。
また前嶋教授は候補者が第二次世界大戦後の米国のベビーブーム世代にあたり「熾烈(しれつ)な大統領選の競争に打ち勝つずぶとさを備えていることも関係しているのでは」と見る。
日本では社長の平均年齢が59・9歳と還暦に近づき、事業承継が社会問題だ。企業経営も容易ではないが、世界最大の経済大国のかじ取りはさらに難易度が高い。後期高齢者から挑戦する人たちを見ていると、経営に適齢はないのかもしれないと感じる。
(2020/3/9 05:00)