(2020/4/15 05:00)
「自宅勤務となりました。会社のパソコンメールは見られませんので、急ぎの時は携帯電話にお願いします」。取材先から、そんな連絡が相次いだ。
言うまでもなく安倍晋三首相が発令した緊急事態宣言がきっかけだ。もともと「働き方改革」を進めていたところに新型コロナウイルスの感染拡大が起き、遅れが目立っていたテレワークの導入を迫られた。かく言う筆者もテレワーク中だ。
日本の高度経済成長を支えてきたのは、終身雇用や年功序列などの労働慣行だった。従業員の帰属意識を高める施策だったが、それがサービス残業や無給の休日出勤をいとわない「会社人間」を生んだ。
経済のグローバル化で日本型労働慣行は変化している。加えて少子・高齢化が進み、働き手不足に拍車がかかった。人手不足を解消しながら生産性を維持するとともに、長時間労働を解消するために政府が打ち出したのが働き方改革。
高齢者の就労促進は進み、法制度上は正規・非正規の格差も是正された。一方でテレワークをはじめ時間や場所を有効に使う柔軟な働き方は、暗中模索の段階にある。スマホやパソコンさえあればよいわけではない。現状からテレワークの問題を洗い直し、生産性向上につなげたい。
(2020/4/15 05:00)