社説/対コロナ医薬開発 関西の力を発揮するべき時だ

(2020/4/30 05:00)

世界中で猛威をふるう新型コロナウイルスとは長期で闘う覚悟が求められる。対コロナ対策は国任せではなく、地域の力も必要だ。中でもバイオ・医療産業の集積が強みの関西はその力を発揮するべきだ。

大阪市内にある道修町は、今も多くの医薬品関連企業が軒を連ねる。感染症を重点疾患領域とする塩野義製薬は、新型コロナ感染症の予防ワクチンを国立感染症研究所と共同開発する。グループ会社の技術を使い、開発に必要なタンパク抗原の作製を進める。年内にも臨床試験を開始、将来的に1000万人規模のワクチン提供を目指す。同社は、北海道大学とも新型コロナの治療薬開発で共同研究を進めている。

大阪府・市は、大阪大学や大阪府立病院機構などと連携し、新型コロナ感染症の予防ワクチンの開発支援を決めた。7月にも臨床試験を開始し、9月の実用化を目指していく。年内に10万―20万単位のワクチンを投与する計画。阪大発創薬ベンチャーのアンジェスとタカラバイオや、阪大微生物病研究会(BIKEN財団)などが開発に乗り出した。

一方、神戸は先端医療施設や医療関連の研究機関・企業の集積が進む「神戸医療産業都市」が形成されている。現時点で約350の研究機関や企業の集積があり、理化学研究所も先端医療の研究施設を構える。理研は2021年度に同地で供用開始予定のスーパーコンピューター「富岳」について、新型コロナ研究向けに計算資源の前倒し提供を始めており、既に5研究課題で活用されている。

京都はノーベル生理学・医学賞を受賞した京都大学の山中伸弥教授や本庶佑特別教授に代表される医療分野で研究力がある。両氏は意欲的にコロナ対策の提言などを発信する。京都企業も、島津製作所が独自開発した検査法で新型コロナウイルスの検査を、約1時間で判定するキットを20日に発売した。

大阪、京都、神戸はそれぞれ個性的ゆえ互いに反発も多いが、今こそ連携しコロナ対策へ持てる力を結集してほしい。

(2020/4/30 05:00)

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