社説/コロナ禍後への備え デジタル技術を武器にせよ

(2020/5/1 05:00)

対人接触を避けながら生活する手段として、テレワークに加え、オンラインによる教育や診療などの利用が増えている。このデジタル化の流れを加速させ、コロナ禍後のV字回復へとつなげたい。

新型コロナウイルス対策に、多くの企業がテレワークやウエブ会議を活用している。会社説明会や採用面接をオンラインで行う企業も珍しくない。緊急時の対策ではあるが、大手企業のみならず、IT活用で出遅れていた中小企業のデジタル活用は待ったなしの状況だ。

これまで組織や制度の壁で二の足を踏んでいた案件も、デジタル活用を起点に動きだすなど、すでに状況は一変している。「2025年の崖」という警鐘で知られる経済産業省のリポートでは、デジタル変革(DX)の重要性を訴えているが、皮肉にも「20年のコロナ禍」でその一部が前倒しで実行されているのが実情だ。

雇用支援や外出自粛で、窮地に立たされる飲食店などもデジタルを武器として、参加交流型のソーシャルメディアの活用や、ITによるマッチングで新展開を目指す動きが出ている。

中国ではコロナ禍対策として、期間限定の「従業員シェアリング」が話題という。大手スーパーがネット販売の配達員不足を補うために、外食やタクシー会社などから従業員を一時的に受け入れるといった仕組みだ。

需給のマッチングやスマートフォンへの通知などを人手で行うのは大変だが、そこはデジタル技術の出番。中国と日本では社会制度が異なり、そのまま適用できるわけではないが、シェアリングの仕組みを雇用に広げる試みは興味深い。

デジタル活用による需要喚起は国内でも動きだしている。コロナ対策でテークアウトを始めた飲食店が地域住民にメニューを知らせようと、スマホで閲覧できる地図サービスを使う事例も出てきた。

コロナ禍による経済活動の停滞は当面続きそう。デジタルを武器に新しい仕組みに踏み出せる企業と躊躇(ちゅうちょ)する企業には、大きな差がつく時代だ。

(2020/5/1 05:00)

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